あくまで天使です。
弁当箱を持っている手とは逆の右手首を掴まれる。
混乱する暇もくれないまま、ぐっと彼は両膝を深く曲げた。
助走も何もつけず、私の手首をしっかり握ったまま跳躍した。
その下に跳び箱のアレがあるんじゃないのか?と本気で考えたほどだ。
このまま空まで飛んで行けるんじゃないのか。と夢み事を感じる。
突っ立ったままジャンプしたのに何でこんなに高く、こんなに前に移動できるのか不思議だ。
震える足をいなし、背筋を伸ばして青の世界をぐるりと見渡した。