あくまで天使です。


幻覚か、と嘆息を吐き出す。


こんな無謀な希望を持たせたテレビに青筋を立てつつ、ぶち切ってやる。


虚しい部屋の空気に何故か枯れた涙がこみ上げてくる。鼻をすすった。


リモコンを持つ手から力が抜ける。


苦しげな吐息が自分でも聞こえる。


こんなことぐらいでめげていたら生きていけないじゃないか。


己を励ますように両ほほを強くたたいた瞬間


「おいこの馬鹿が。なに勝手にテレビ消してんだよ」


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