お姫様だっこ
「菜帆、ごめんな。嫌な思いしたろ?」
「ねぇ、どぉゆぅ事?なんで元カノが待ってるわけ?」
今にも泣きそうな声で聞いた。
俊は一瞬、目をそらしてスグ、菜帆を見つめ直した。
「中で話すよ」
2人で俊の家に入る。
いつも散らかってる俊の部屋。
少し片付けて座るスペースを作る。
「菜帆…誤解すんなよ?」
俊は菜帆の目の前に座って話し始めた。
最近、急に雪奈が電話とメールをしてきた事。
毎日メールが来てて、
今日とうとう家まで来てしまってた事。
怒りをこらえて俊に言った。
「なんで今更?元カノから別れたんだったよね?」
「うん。俺も何でかわからないんだ。正直、混乱してる」
「でも‥メール返してたんでしょ?電話も出てたんでしょ?菜帆に秘密にして…‥最近様子おかしかったのはやましい事してたからなんだ!?」
俊を睨みつける。
「やましい事なんかしてねぇよ!何言ってんの?ただ、無視はできなくて…友達としてメールしてただけだよ。まさか好きとか言われるとは思ってなかったから…」
「好きって言われたんだ?…」
「あ…‥うん…。でも、俺は菜帆が好きだって言った!!スグ諦めると思ってたけど家まで来るなんて思わなかった。もう俺は話す事なんか無いんだよ」
俊はズット困った顔。
菜帆はハッキリしない俊に苛立ちを感じた。
どんどん疑ってしまう醜い自分にも苛立っていた。