お姫様だっこ




声が裏がえる。



力強い智也の腕はしっかりと、あたしを包み込んでた。




「俺が前、抱きしめた時…拓に見られてて研にバレたんだろ?そのせいで研が離れたんだよな?」



「知ってたんだ?」



「あぁ…。鉄に無理やり吐かせたんだ。美優にどう謝ったらいいか分かんなかった。どうやったら美優が笑ってくれるかズット考えてて…」




「もう大丈夫って言ったでしょ?」



あたしは智也から離れようとした。



でも智也の力は凄くて離せなかった。




どんどんキツく抱きしめられる…






「俺じゃ駄目か?」


「え……?」



「俺…どうでもいい人、抱きしめたりしないよ?あの時も、美優をほっとけなくて。好きな子が友達の為に泣いてて…可愛くて仕方なくて気付いたら抱きしめてた。」





何が起こってるかマダ把握できない…



心臓が飛び出そうなくらい暴れていた。





「あの時…美優が俺に寄りかかってくれて…少しの間だったけど幸せだった。俺のものにしたいって思ってしまった。でも美優は研のもの…。」









なに言ってんの?智也…



なに……??




「でも、俺のあの行動が原因で研と喧嘩したって聞いて…心配したのはマジだよ?でも……俺、性格悪いのかな?少し喜んでしまったんだよ。俺にもチャンスがあるのか?って。悪い男だよな…でも、いつも悲しい顔してる美優を見てらんなくて…俺マジなんだよ!!」





「智也、ダメだよ…」



「俺、美優の傍にズットいるよ?どんな事あっても!!ズットすきだったんだ」







智也があたしを好き?




だって……



ずっと友達としてあたしの傍に居たと思ってたのに。



ずっとってそんな前から?






知らなかった
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