お姫様だっこ



―〜〜♪


部屋に鳴り響く携帯の着うた。


「あ…あたし寝てた?」

過去を思い出しながらいつのまにか寝てしまってたんだ。




そばにあった携帯を手に取る。


―受信メール一件―

開いてみる。



《研だぞー》

題名にそう表示されてた。

「研!?」

思わず声に出た。



研の名前を見ただけで心がぱぁっと明るくなった。


すぐ本文を開いた。


《元気かぁ?早速メールしてみたぞ♪あ、迷惑?笑》



嬉しくて涙が出た。

普通のメールなんだけど…

心があったかくなって涙が出ちゃったんだ。


研に会いたい…

そう思っちゃった。


でもそれは無理。

あたしは普通にメールの返事をする。


《元気だよん♪メールありがとう。何してんのー?》


すぐ返事が来た。

《テレビ見てた。暇だからメールしてやったよ》

意地悪…。

《あたしも暇だからメールしてあげる♪》

《今日は菜帆のお世話大変だったなぁ?》

《あははっ。いいんだよ。菜帆にはいつも元気貰ってるから。友達が困ってたら助けるの当たり前でしょ?》

《やっぱ美優はいい奴だ》


あたしっていい奴なのかな?


研が誉めてくれて、顔が緩んだ。


「あ。そろそろ風呂の時間」

早く入らないとおばあちゃんに怒られる。
焦ったあたしは研とのメールをほったらかしにして風呂場へ向かった。


お湯に浸かりながら研の事ばかり考えてる。

あんなモテる人、好きになってもなぁ…


あたしの中でどんどん大きくなる、研の存在。


「研…。」
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