お姫様だっこ


小学校の授業参観―。



みんなはママやパパが見に来てくれる。


でもあたしはおばあちゃんかおじいちゃん…。



他の人が羨ましかった。

「ママー!!」

って駆け寄っていく友達が羨ましくて。

優しい笑顔で抱きしめてくれるママがいる友達が羨ましくてたまらなかった。



あたしにはなんでママがいないの?
なんで何処かへ行ってしまったの? ――…





来てるのがおばあちゃんって事が恥ずかしくて…俯いたままだったんだ。


いつも意地悪なおばあちゃんだけど授業参観日は欠かさず来てくれてたんだ。
小さい体で歩いて学校まで来てくれてた。


それなのに…
子供だったあたしは恥ずかしいと思ってしまっていつも俯いてた。


それは謝るよ、おばあちゃん。

ごめんね。


ありがとう。



今はそう思うよ…。



でも…
でもね、ママが欲しかったんだ。


ママだけはいてほしかった。



何故…ママを追い出さなければいけなかったの?


何故…おばあちゃんはママを嫌ってたの?



何故?……
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