愛されたかった悪女
「僕が行くよ」


「いいの。大丈夫、ちゃんと戻って来るわ。本当よ?」


「……必ずだからね?」


私に近づくとジョンは念を押すように言った。


「ええ、コーヒーの匂いを嗅いだらとてもお腹が空いていたことに気づいたの。たっぷり買ってくるわ」


「出て右に1ブロック行った角にデリカテッセンがあるよ。そこのアボカドとエビのサンドイッチが美味しいんだ。あ!それからオリーブも頼んでいいかな?それとパストラミ・サンドイッチも」


どうやらジョンはそこの常連らしい。


「ええ。お店ごと買い占めてくるわ」


わざと明るく振る舞ってくれているようなジョンを見ていたら、少し気分が軽くなった気がした。


無意識にジョークが言えていた。


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