愛されたかった悪女
「ごめん、何もなかったな。ベッドに座って」


私は言われるままにベッドの端に腰を掛けた。


「ああ、コーヒーはある。ちょっと待ってて」


ベッドに座った私を残し、ジョンはキッチンへ行ってしまった。


少しして、コーヒーの良い香りが漂ってきた。


その香ばしい香りに刺激されたのか、お腹が不満をあげた。


私は急いで腹部を押さえた。


昨日からコニャックだけで固形物は何も食べていないことに気づいた。


「ジョン、サンドイッチを買ってくるわ」


ジョンもお腹が空いているだろう。


私の提案にジョンはキッチンから顔を出した。


その顔は心配そうだ。


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