愛されたかった悪女
近づいてくるハヤトを久しぶりに見て、胸がドキドキと高鳴る。


飛び切りの笑顔を向けてハヤトに抱きついた。


人が見ているせいか、無理やり引き離されずに良かったと思う。


抱き合う私達をアキは大きな目で見ていたから。


ハヤトは妻に気づき、私を問い詰めるように冷たい瞳で見る。


そして、私から妻を遠ざけるかのようにハヤトは歩いた。


途中、私はハヤトの腕に腕を絡めてみた。


あからさまな拒絶はなくてホッとしたのもつかの間、ふたりだけになるとハヤトはなぜ妻を招待したのだと、きつく尋ねる。


「彼女が私と貴方の関係を知りたいと言ったからよ 正直に話すべきだと思うの 今は何でもなくてもね 私達は5年近くも付き合っていたのだから」


「知らせる必要はない 俺たちは終わったのだから」


ハヤトの言葉はつららの様に私の胸に突き刺さった。




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