ワインレッド

「待って!」

それを女が呼び止めた。



男は立ち止まり、
女を不思議そうに見た。

まるで俺に用など
あるはずがないと言わんばかりの表情だ。

「見つけて頂いたお礼もありますし、
 傘!貸しますんでもっていって下さい。」

そう言って女は傘を差し出した。

ザーーーーー!!

まだまだ雨は止みそうにない。



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