監禁恋情
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1ヶ月ぶりに外へ出た。
靴なんて持っていないから、裸足で。
さくらの足はガラスで切れて血が出て痛々しい状態だったが、そんな痛みなど気にしていなかった。

部屋を出て、すぐの所に管理人室があった。
紀一を監視する為の部屋だ。
ここがあるから、部屋を出ればすぐに見つかる。


それが今、さくらにとっては好都合だった。


見張りをしていたのは、若い男だった。
あの、さくらを逃がそうとしてくれた青年、和樹であることを願っていたさくらにとっては期待はずれとなったが、やるべきことは変わらない。

男は、さくらを見て驚いた顔をした。

見張りという仕事に就いてはいるが、こんな風に中から人が堂々と出てきて自分に向かってくるなんてことは、男にとっては突然すぎて、本来すべきだった対処を忘れるほど驚きの出来事だった。


自分の前に立つ美しい少女は、強い眼差しで凛として言った。


「和樹さんを呼んで下さい。」

「は…?え…?
どうしたんですか…?」

男は、さくらの足が血まみれなのを見て、我に返った。
さくらの手には、ガラスの破片が握られている。

「だ…旦那様に報告しなければ…!」

と、受話器をとろうとした、

「やめなさい。」

さくらは、手に持っていたガラスの破片を、男の首元にあてた。

「…ひっ…」

「死にたくなければ、私の言う通りにして下さい。和樹さんを、ここに呼んで。」

「か…和樹…」

「あの人に仕えている男の子です。いつも必要な物を持ってきてくれます。わかりますね?」

「…はっ、はいっ!」

男は、ボタンをひとつ押して、どこかに電話をかけた。


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驚いたことに、和樹はすぐにやって来た。
常にこの建物内にいるということだろうか。とにかく、さくらは安心して、男の首からガラスを外した。

「さくらさん…!一体どうしたんです!」

和樹の顔を見た瞬間、一気に力が抜けた。
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