監禁恋情
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目を覚ましたら、知らない天井だった。

体を起こして、紀一は微笑んだ。

艶やかな黒髪の少女が、
ベッドの横の椅子に座って、
眠っていた。

静かに、髪を撫でた。
頬に、涙のあとが見える。

「また泣かしてしまったな。」

かすれた声で呟いた。

少女が眠っている手に、何かが握られていた。

それをそっと取り上げ、開く。

思わず、微笑んだ。



なんだ、愛はずっと前から
自分を許していたじゃないか。

俺はずっと、気がついていなかったんだ。



「ん…。」

さくらが、目を覚ました。

「さくら。」

名前を呼んでやる。
随分久しぶりに呼んだ気がした。

「紀一さん…」

俺の顔を見た瞬間、
さくらはポタポタと涙を溢れ流し始めた。

さて、何から始めよう、
とりあえずは、彼女の涙を止めることからだ。
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