光の射す方へ
思いがけない再開
兄との生活も3ヶ月が経った。

兄は時々女に呼び出され外出することもあった。
しかし、逃亡生活にも、逃亡者をかくまる生活にも慣れてきて、暗いなりにも平和な、それなりに楽しい生活を送っていた。


ある日女と会うと言い外出した兄が帰宅した。

様子がおかしい。

私の買い与えたプリペイド携帯は粉々になり、手からは血がにじんでいた。


『ど、どうしたの?』

『アヤ、オレは死ぬべきだな!スマナイこんなアニキで…』

いつになく肩を落とし、やつれた兄の話を聞くと、女にゆすられていた。女は兄のことを本気なのか、一緒に逃亡しようと言う。兄はそれもできずに拒否。すると女は

『今から暴力団の所に行って、居場所をバラす。アヤちゃんの生活をめちゃめちゃにしてやる!』

と言う。

憔悴しきった声で、続きを言おうとした兄の言葉を遮って私は言った。

『もう逃げて!ここにいるのは限界だわ!後は私が何とかする!』



私にはアテがあった。


そして2日後兄はこの地を後にした。
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