光の射す方へ
大切な友達
色付いた世界というものはもちろん楽しいことばかりではない。イヤなこともあれば裏切られることもあり、理不尽なこともたくさんある。その度に泣いたり怒ったり…私はそれが幸せだった。無論その瞬間は感じないが、後々にこれが「普通」なのかと思うとなんだかにやけた。

私は無事、介護の勉強のできる高校への入学が決まった。
「アヤ受験合格おめでとう!離れ離れになるけどお互い頑張ろうね!また連絡するね。」

アズサちゃんと匹敵するくらい仲良しのナオだ。

ナオは頭がよかった。小学校低学年からの付き合いで、アズサちゃんと3人でよく連んだ。明るく活発で、とても立派なご両親、兄弟がいる。とてもうらやましい私にとっての「普通」をいっぱい持っている。しかし両親は喧嘩が絶えず、彼女も何らかの「無」を知っている。ナオはよく私に言った。

「アヤは時々、目が怖いよー!どうかした?」

私はこの子には一生かなわないだろう。

15歳春、私は家を出て“くそ”のつく田舎に下宿した。

アズサちゃんともナオとも連絡をあまりとらなかったが、私たちは途切れず、大切な友達だ。

高校生活は楽しい。土地を変えたこともあり、なんかリセットされた気分。「普通」に色々やった。青臭い恋もした。笑けるくらい熱い青春もした。なんと生徒会長もやった。なんか照れくさいが私は「普通」の明るい女子高生だ。

新しい大切な友達がいっぱいできた。介護士という職業にも胸が膨らんだ。

離れると家族も素敵に思える。
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