俺はその時、どう行動するか。
ホテル白熊の正面玄関前には白い高級車が停まっていた。


澪がチャーターしたものらしい。


澪に続き俺も車に乗り込むと運転手がドアを閉める。


車が走り出すと、昨日綾音と歩いた道を通りすぎた。


ラーメン屋からの道のりで、そういやここら辺で遭難しかけたんだよな…。


昨日のあの時点では、綾音とこんな風になるなんて想像もしていなかったな。




「何を笑っていらっしゃるの?」




窓に肘をつき、景色を眺めている俺に隣の澪が聞く。




「あ、いや…実は昨日この道を歩いてホテルまで行ったんだ」


「まぁ、こんな寒い中をわざわざ歩いて?」


「うん。すごい雪でさ、遭難しかけた」




俺の言葉に澪は笑う。


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