俺はその時、どう行動するか。
そしてしばらくして――…





「その女の方とは…いつからお付き合いなさっていたの?」



ようやく澪が重い口を開いた。




「…昨日初めて出会った人…なんだ」


「え?」


俺の言葉に澪が息を飲む。



「そんなことって…昨日出会ったばかり…ですって…?」


「あぁ…自分でも馬鹿げた話だと思ってる」


「…………」


「だけど本当の話なんだ。愛し合ったけど…実は連絡先も…聞いてない…」


「…………」




澪はまたしばらく黙ってから、躊躇いがちに聞いてくる。




「じゃあ……ワタクシ達の13年間はその偶然出会っただけの女に負けたと仰るの?」


「…………」


「ワタクシより…そんな女がいいんですの?」




澪の声が震えている。


俺はギュッと拳を握った。





「……ごめん」


「っ!」


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