俺はその時、どう行動するか。
俺がちらりと綾音を見ると、綾音は慌てた様子で赤い顔を両手でパタパタ扇いだ。



「も…も~お姉さんっ!悠人さんは明日、とっても美人な彼女さんとご結婚されるんですよ。私なんかとは釣り合いませんよー」


「え…?いやいや、釣り合わないのは俺の方ですって!」



綾音の台詞に思わずこっちまで照れそうになりながら必死に弁解する。



「いえ、私ですよ。悠人さんは素敵ですもん」


「なっ…なに言ってるんだよ。綾音の方が…」



そんな俺たちの様子を眺めていた姉さんは、何かを悟ったように目を細めた。



「あなた…結婚前日に他の女の子といるなんて、罪なオトコね」


「え?!…ちが、だからこれはただの行きずりで」


「事故が起きても知らないわよぉ~ん」


「!!」




事故が起きても…


そのワードに反射的にギクリとしてしまったのは、誰よりも俺がそれを危惧しているからだろう。


…俺は絶対に浮気はしない!


そう誓えるはずなのに、どうして未だにこんな状況なんだろう…


やっぱり綾音と無理やりでも空港で別れるべきだった。


関係はどんどん密になっている気さえする…


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