俺はその時、どう行動するか。
絶品ラーメンと匠餃子とはみ出し炒飯をなんとか完食し、別れを惜しむ姉さんを振り切ると


俺たちは再びホテル白熊を目指し雪道を歩きだした。



「すごく美味しいラーメンでしたね」


「はは、そうだね。なんか吐きそうなくらい満腹だけど…」



相変わらず歩きにくい雪道をスーツケースを引きずり歩く。


多分あと10分も歩けばつくだろう。


しかしラーメン屋を出て数分で天候が急変し、雪が降りだしてきた。


あ…これはヤバいぞ。


そして俺の予想通り、みるみるまに雪は吹雪に代わり、ついに視界はゼロになった。



「綾音…大丈夫?」


「は…はぃぃ…!」



吹き荒ぶ横殴りの吹雪に綾音の声すらかき消される。


コートのフードをかぶった綾音の長いまつ毛が白く凍っている。


「危ないから手を繋ごう!」


俺はかじかむ手で綾音の冷たい手を握ると、とにかく必死に前に進んだ。



明日は人生で最も幸せな結婚式…


その結婚式に辿り着く前に…


なぜ俺は遭難しかかってるんだ!






ゴォォォォォ…







吹き荒れる吹雪に心が折れそうになる。


どうやら俺は北海道をなめすぎていたようだ…


真冬の北海道の、しかも秘境で結婚式なんて…




もうダメだ…

さよなら、澪…

俺多分行けないわ




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