俺はその時、どう行動するか。
―――パチパチ…




暖炉の中で優しく燃える火に、芯まで凍り付いた身体がゆっくりと溶かされていく。


暖かい暖炉の前で安心したらなんだか眠くなってきた。


部屋に入ったらとりあえず熱いシャワーを浴びてしばらく寝よう…




「予想外の展開でしたけど…無事辿り着けて良かったですね」



隣で毛布にくるまれた綾音は元気が戻ってきたのか、えへへと笑った。



「一生忘れられない体験が出来たよ。結婚前に危うく死ぬとこだった」


「私、部屋に入ったら熱いお風呂入りたいです」


「はは、俺もまったく同じ事考えてた」



俺と綾音は毛布越しに肩を寄せて笑い合う。


その時、さっきの従業員が再び戻ってきた。



「あの、相良様…」


「ん?なんですか?」



男性従業員を見るとなぜか困った顔をしている。




「長谷川様のご予約は確認出来たのですが……相良様のご予約はキャンセルになっておりますね」


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