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「おはよう、元気だった?」
応接室に入ると、浩輔は嬉しそうに声をあげた。
「ごめんなさい、待たせたわね。私は元気よ。昨日、執事と頑張りすぎちゃって体が痛いけど」
「え? 頑張り……?」
浩輔は一瞬考え込む、だけどすぐに笑顔になった。
「なんだ。そういうことか、執事さんあまり歓迎してくれなかったから」
「まあ! 柏原が無礼を? おかしいわ、いつもはパーフェクトなおもてなしをするんだけど……」
柏原、あとで説教ね!
「それより、今日は何か可愛らしいね……この前と印象が違う」
「そう?」
浩輔は私が寝坊した事など全く気にしないようだ。
優しいのね……誰かさんと違って。
「ごほんっ! 失礼いたします」
その誰かさんが優雅に応接室に入って来た。カートに飲み物と焼きたてのスコーンを用意している。
「浩輔様はコーヒーと紅茶どちらがよろしいでしょうか?」
「うわっ! 浩輔"様"とかなの? なんか恥ずかしいなぁ……」
浩輔は満更でもない様子で、「コーヒーお願い」と指示を出す。
そうよね?
浩輔は確か執事になりたかったはずだ……
今日は色々習得する為にここに来たのだろうから、恥ずかしい気持ちを抑えて学ばなくてはいけないのだ。