SWeeT†YeN
規則正しい三回のノック音!
この音を、私が間違えるはずがない。
「柏原っ!」
「おはようございます。お嬢様、お目覚め加減はいかがでしょうか?」
彼はブラックデニムのパンツに、白いコットンシャツという軽装で、寝室に入ってきた。
「さっ……最悪よ……このタイほどきなさい! 子羊の柔らかローストキチンにされちゃうかと思ったわよっ!」
ベッドの前で一度会釈をするとニッコリと微笑んだ。
「お嬢様、子羊はロースト"キチン"には一生なれません。キチンは鶏肉ですから……」と呟きながら、キルト地のベッドに腰をかける。
長い腕が伸びてきて、綺麗な指が私の目元に触れた。
「また泣いていたのですか? 私は、買い物に出ていただけです。本当に、貴女は寂しがり屋だ」