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「お嬢様方、仲がよろしいのは大変結構な事でございます」
柏原は遠心力に目が回った私を、ようやく麗香から解放してくれた。
だけど、クラクラしている私をしっかりと支えてくれる。
もっと早く助けなさいよ……
「さぁ……茉莉果様、本日の主役を独り占めしてはいけません。麗香様失礼いたします」
美しい作法と挨拶で麗香に頭を下げる執事。
クラクラしている私を強引に抱き寄せる執事。
「柏原、今の勝負は私の圧勝ね」
料理が彩られたテーブルの前を通りすぎて、会場の際に並べられたソファに私を優しく座らせてくれた柏原。
このパーティーは立食形式を取り入れたビュッフェスタイルのパーティーだ。
招待状には『八時までに出欠を』と書いてあったから着席式のパーティーだと思ったのに……
なんて巧妙な罠かしら?
もちろん、私は薄々気がついていたから意味はないけどね。