BLack†NOBLE

『邪魔者が消えたな。安全運転でナポリへ向かう。アリシア、まだ俺に付き合うか?』


 バックミラーには、暗闇の山道だけしかうつらない。 ハンドルを持つ手は密かに汗ばんでいる。



『私、降りない……山の中だし』


『残念だな』



 蔵人は俺に何をさせるつもりなんだろう?

 車内時計は深夜二時をしめした。



 この道が続く先は、お嬢様を取り戻し二人へ日本へ帰る為の道だと信じたい。


 彼女は慣れないこの土地で、不安な夜を過ごしているのだろうか……


 なぜ、俺が傍にいないのか腹をたてているのかもしれない……


 夕食は、満足に食べられたのだろうか……





茉莉果、君を抱きしめられたら────俺は至福に包まれるだろうか?






< 109 / 509 >

この作品をシェア

pagetop