BLack†NOBLE
『クロードが守ってくれたの』
『蔵人が?』
『クロードは、私が妻になった事をとても心配してた。
「おまえが不自然な死に方をしたら俺の責任だ。狙撃されるか、誘拐されるか、拷問されるかは分からないが、俺はそういう世界で生きている。
覚悟があって婚約届けを提出したなら、今ここで親や友達に宛てた遺書を書け」そう言ってた。あんなに優しいマフィアなんて会ったことない』
マフィアとは、そういう世界で生きている。いや、その世界に足を踏み入れた途端に死んでいるようなものかもしれない。ならば「巻き込むな」と言い返してやればいい。
俺なら絶対にそうする。
『それで遺書は書いたのか?』
蔵人とこの女の結婚話は普通じゃない。 イカれ過ぎている。 自分は、絶対にこんな夫婦になりたくないと強く思う。
『書いた。「私の全てはクロードのものよ!」って、赤いルージュで書いた。私は誓ったの、クロードに……でもね』
そこでアリシアは口を閉ざす。