BLack†NOBLE

『瑠威様、我々の指示に従ってください』


 その手から逃れるように身を翻し走り出す。だけど、俺は直ぐにその場に足を留めることになった。




 蔵人が、メルフィス(掟)だ────



 ここへの警察車両の侵入を阻止するように、路上を閉鎖している車と男たち。銃撃戦のダメージもなく怯むこともない。


 そして俺は一瞬で十人足らずの男に取り囲まれた。


 圧倒的な数と権力。勝ち負けは一目両全で、負けが見えている喧嘩を挑む気力がない。



 蔵人は、横目で俺を睨み付けてダックスフントみたいに長いバンに乗った。アリシアも嬉しそうに、車に飛び乗った。


 そして、その車の扉の横でレイジが「はやく乗れ」という視線で俺を見る。聞き分けのない子供に嫌気がさした母親みたいだな。



『瑠威様、我々もいつまで警察を足止めできるかわかりません』



 自分の非力さを痛感させられた。






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