BLack†NOBLE


『クロード、瑠威……』


 アリシアが素足で絨毯の上を歩いて部屋から出てきた。



『眠ってろと言っただろ』


 冷たい声と裏腹に、蔵人はアリシアを抱き寄せると耳元にキスをした。


 いたぶりたいのか、愛したいのか、心底わけのわからない奴だ。




『私も、ローザに会いたい』


『駄目だ。まだ、早い』


 アリシアが頬を膨らますと、蔵人は彼女の肩を押した。






 その顔は冷酷な男の顔で、アリシアは涙ぐんだ。



『私、ほんとにクロードが好きだから。愛してるから。嘘じゃないよ』


 蔵人は答えない。俺がいる手前、意地もあるんだろう。



『瑠威、クロードお願いね。無茶しないようにさせてね』



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