BLack†NOBLE
『それに妻には絶対会わせたくないです。クロード様に惚れなかった女なんて我々は見たことがない。
フィナーレ!』
俺のチップが倍になって返ってきた。
『なんせ、あのアリシア・キースがベタ惚れしているなんて有り得ませんよ』
『あの馬鹿女ね……俺なら絶対お断りだ』
『有名女優ですよ? あなたたち兄弟はそっくりだな』
ディーラーはにこやかな笑顔のまま、カランカランと二回ベルを鳴らした。次のゲームの始まりだ。
すると、俺の隣に女が座った。スリットの入るネイビーのカクテルドレスを着たイタリア人。黒髪をアップにしている。
カウンター席に座るカルロに目配せすると、首を横に振る。カジノに客が戻ってきたようだ。