BLack†NOBLE

「保育園、楽しかった? 蔵人は喧嘩して先生を困らせなかった? 瑠威は女の子泣かさなかった?」


 母親は両腕で精一杯二人を抱き締める。


「してないよ!」と蔵人が唇を尖らすと「してないよ!」と瑠威も兄の真似をして唇を尖らせた。


 
 母親の藍は、満面の笑みで幼い息子たちを強く抱き締めると「それなら良かった」と呟く。すると兄弟は嬉しそうに母親の腕に抱かれた。


 彼女は遠い日本からやってきて、イタリアで暮らしてきた。寡黙で優しい最愛の夫と、可愛く賢い息子たちがいる。

 彼らは、藍に最高級の至福を与えてくれる特別な存在だ。


「今日は、パパもお迎えにきてるわよ」




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