BLack†NOBLE
『申し訳ございません。急に暴れだしたので、静かにさせる為に……』
大柄な男が俺と蔵人の間に立つ。日系人だ。ここにいる男達の中でも、特に身なりがいい。
シルクのタイを締めて、言葉使いも丁寧で綺麗だ。
『レイジが、殴ったのか? 俺の弟を』
レイジが頷くと、蔵人は表情をなくした。
『それなら仕方ない』と小さく呟いて、ため息をつく。
実際、レイジは仲介に入り違う男に殴られたのだが……仲間を庇ったか。
この組織の人間関係は、とても複雑なんだろう。蔵人の命令は絶対らしい。
『ニナを呼んで、顔の手当てもさせろ。それから、瑠威に着替えを用意しろ』