解ける螺旋
助手になる位の人なんだから、論文の一つや二つ発表しているはずなのに。
多世界解釈の事だって、物凄く細かいフローチャートを作っているのを見た事がある。
なのに論文が見つからない。
そんな事ってあるのかな。
大学教授の助手なのに、発表した論文がどこにもないなんて。
手にした最後の記録を書架に戻しながら、私は視線を落とした。
なんでだろう。どうしてだろう。
知ろうとすればするほど、出口の無い迷宮に迷い込んだ様な気分になる。
手を伸ばせば伸ばす程、離れて行ってしまう様な気がする。
麻痺し掛ける思考を何とか動かそうと小さく首を振った時、研究室のドアが開く音がした。
「こんにちは~」
「あ」
呑気に響く健太郎の声。
私は天の助けとばかり、書架から健太郎の前に飛び出した。
「健太郎!」
「うわっ……! びっくりした。
……って、奈月!!
お前な、今まで何やってたんだよ、全然連絡して来ないし、心配したんだぞ!」
「ご、ごめん」
いきなり現れた私の姿に、健太郎が本気で驚いて声を張り上げた。
そうだった。
ずっと連絡もしてなかったんだ、と気付いて、肩を竦めて謝ると、健太郎は大きく溜め息をついた。
「……まあ、来たならいいけど。何してたの」
そう言って健太郎が目を向けた先に、私がさっきまでいた書架がある。
そこに何があるかを知ってるのか、健太郎が少し眉をひそめた。
多世界解釈の事だって、物凄く細かいフローチャートを作っているのを見た事がある。
なのに論文が見つからない。
そんな事ってあるのかな。
大学教授の助手なのに、発表した論文がどこにもないなんて。
手にした最後の記録を書架に戻しながら、私は視線を落とした。
なんでだろう。どうしてだろう。
知ろうとすればするほど、出口の無い迷宮に迷い込んだ様な気分になる。
手を伸ばせば伸ばす程、離れて行ってしまう様な気がする。
麻痺し掛ける思考を何とか動かそうと小さく首を振った時、研究室のドアが開く音がした。
「こんにちは~」
「あ」
呑気に響く健太郎の声。
私は天の助けとばかり、書架から健太郎の前に飛び出した。
「健太郎!」
「うわっ……! びっくりした。
……って、奈月!!
お前な、今まで何やってたんだよ、全然連絡して来ないし、心配したんだぞ!」
「ご、ごめん」
いきなり現れた私の姿に、健太郎が本気で驚いて声を張り上げた。
そうだった。
ずっと連絡もしてなかったんだ、と気付いて、肩を竦めて謝ると、健太郎は大きく溜め息をついた。
「……まあ、来たならいいけど。何してたの」
そう言って健太郎が目を向けた先に、私がさっきまでいた書架がある。
そこに何があるかを知ってるのか、健太郎が少し眉をひそめた。