解ける螺旋
怖い人。危険な人。
私自身が樫本先生を、ずっとそう思って来た。
酷い人だって思う。
自分の望む未来を作る為に、本当に私の世界を幾つも創り上げているんだとしたら、心すら失っているのかもしれない。
だからあんな冷酷な言動で私を惑わせる。
もしも、このまま、この世界でも樫本先生の目的が果たされなかったら、きっと樫本先生は他の世界を創り上げる。
今の私は、先生の心にも留めてもらえないまま。
たくさんの『私』の一人。
どうでもいい存在として忘れ去られるだけ。
だけど。
本当に冷たい残酷な人なんだとしたら、どうしてあんな瞳をするんだろう。
傷付いた、苦しそうな、悲しそうな瞳。
あの瞳の光を見た時から私はずっと先生が気になって、自分の中で芽生えた淡い想いを自覚している。
樫本先生に惹かれている。
それがいつか育って恋になると、ただそう思っていられたら良かったのに。
――私の心。
私は自分の想いの向く先に自信を失い掛けていた。
『その気持ちだって本物かわからない』
健太郎の言葉が、私の心を大きく揺さぶる。
健太郎への気持ちが影響された様に、樫本先生への気持ちもそうして生まれたものだとしたら。
日の落ちたキャンパスに、冷たい風が吹く。
私は自分の身体を抱きしめて、一瞬身体を震わせた。
健太郎は、先生が世界に干渉した結果、心まで変えられたと言った。
確かに私と健太郎の気持ちは向きを変えたのかもしれない。
それと同じ様に、私の先生への気持ちも変えられたんだとしたら。
心の中まで『他の私』の気持ちで上書きされている様な気がして、私は自分の気持ちに自信を失ってしまう。
まだはっきりした気持ちじゃなかったけど、輪郭だけでも掴みかけていた気持ち。
健太郎の話を信じるならば、私は自分の心の在処を見失ってしまう。
私自身が樫本先生を、ずっとそう思って来た。
酷い人だって思う。
自分の望む未来を作る為に、本当に私の世界を幾つも創り上げているんだとしたら、心すら失っているのかもしれない。
だからあんな冷酷な言動で私を惑わせる。
もしも、このまま、この世界でも樫本先生の目的が果たされなかったら、きっと樫本先生は他の世界を創り上げる。
今の私は、先生の心にも留めてもらえないまま。
たくさんの『私』の一人。
どうでもいい存在として忘れ去られるだけ。
だけど。
本当に冷たい残酷な人なんだとしたら、どうしてあんな瞳をするんだろう。
傷付いた、苦しそうな、悲しそうな瞳。
あの瞳の光を見た時から私はずっと先生が気になって、自分の中で芽生えた淡い想いを自覚している。
樫本先生に惹かれている。
それがいつか育って恋になると、ただそう思っていられたら良かったのに。
――私の心。
私は自分の想いの向く先に自信を失い掛けていた。
『その気持ちだって本物かわからない』
健太郎の言葉が、私の心を大きく揺さぶる。
健太郎への気持ちが影響された様に、樫本先生への気持ちもそうして生まれたものだとしたら。
日の落ちたキャンパスに、冷たい風が吹く。
私は自分の身体を抱きしめて、一瞬身体を震わせた。
健太郎は、先生が世界に干渉した結果、心まで変えられたと言った。
確かに私と健太郎の気持ちは向きを変えたのかもしれない。
それと同じ様に、私の先生への気持ちも変えられたんだとしたら。
心の中まで『他の私』の気持ちで上書きされている様な気がして、私は自分の気持ちに自信を失ってしまう。
まだはっきりした気持ちじゃなかったけど、輪郭だけでも掴みかけていた気持ち。
健太郎の話を信じるならば、私は自分の心の在処を見失ってしまう。