解ける螺旋
◇
健太郎の話を聞いた後、私は居ても立っても居られずに、研究室の名簿を頼りに樫本先生のマンションを訪ねていた。
先生は大阪で開催された学会に行っていて、今日は帰って来ても遅くなる。
こんなとこで待っていても会えないかもしれない。
それこそ、待ってどうしたいのか、自分でもわからなかった。
健太郎の話はあまりに常識の範囲外だったけれど、私と健太郎が体験している不可解な現象の説明にはなる。
起こり得ない。
ありえない出来事なら、説明出来る解釈を実証すればいい。
教授がいつも言っている言葉を、健太郎が実践しようとしていた。
だけどそうしたら、私にとっての樫本先生の存在はどう変わって行くんだろう。
なんとなく自分の気持ちがわかり掛けた時だったのに、先生の正体がますますわからなくなって、不安だけが大きくなってしまう。
本当に樫本先生が他の時空から跳んで来て、未来を変える為に私の世界に干渉してると言うなら、何が目的なのか。
健太郎はあの誘拐事件に鍵があると言っていたけど、あの事件が未来にどんな影響を及ぼしたのか。
先生に会ったって何も解決しない。
こんな事を直接聞ける訳がないんだから。
そうわかっているのに私はマンションの前から動けない。
樫本先生に会うのはあの時以来だった。
あんな事をされた相手の部屋に夜に訪ねるなんて、普通の女の子の行動として正気の沙汰じゃない。
油断するな、と念を押す健太郎の言葉に、一瞬心が騒いだ。
それでも――
呆れられる。軽蔑される。
もしかしたら、軽い女だなんて思われるかもしれない。
だけどそれでもいい。
どう思われてもいいから、私は自分の気持ちに縋りたかった。
健太郎の話を聞いた後、私は居ても立っても居られずに、研究室の名簿を頼りに樫本先生のマンションを訪ねていた。
先生は大阪で開催された学会に行っていて、今日は帰って来ても遅くなる。
こんなとこで待っていても会えないかもしれない。
それこそ、待ってどうしたいのか、自分でもわからなかった。
健太郎の話はあまりに常識の範囲外だったけれど、私と健太郎が体験している不可解な現象の説明にはなる。
起こり得ない。
ありえない出来事なら、説明出来る解釈を実証すればいい。
教授がいつも言っている言葉を、健太郎が実践しようとしていた。
だけどそうしたら、私にとっての樫本先生の存在はどう変わって行くんだろう。
なんとなく自分の気持ちがわかり掛けた時だったのに、先生の正体がますますわからなくなって、不安だけが大きくなってしまう。
本当に樫本先生が他の時空から跳んで来て、未来を変える為に私の世界に干渉してると言うなら、何が目的なのか。
健太郎はあの誘拐事件に鍵があると言っていたけど、あの事件が未来にどんな影響を及ぼしたのか。
先生に会ったって何も解決しない。
こんな事を直接聞ける訳がないんだから。
そうわかっているのに私はマンションの前から動けない。
樫本先生に会うのはあの時以来だった。
あんな事をされた相手の部屋に夜に訪ねるなんて、普通の女の子の行動として正気の沙汰じゃない。
油断するな、と念を押す健太郎の言葉に、一瞬心が騒いだ。
それでも――
呆れられる。軽蔑される。
もしかしたら、軽い女だなんて思われるかもしれない。
だけどそれでもいい。
どう思われてもいいから、私は自分の気持ちに縋りたかった。