解ける螺旋
部屋に入ると、樫本先生は私をリビングに通してくれて、自分は奥の寝室に入って行った。
スーツを脱いでラフな服装で戻って来ると、立ち尽くしたままの私に視線を向けながらキッチンに入って行く。
「で、話って何」
お湯を沸かしているのか、冷えた部屋の空気が少しだけ温かくなった様な気がする。
「え、えっと……」
聞かれても返事に困った。
話なんて口実だし、聞きたい事は聞ける訳がない。
「あ、あの。学会、どうでしたか」
「……」
コーヒーを淹れたカップを二つ手にしてリビングに入って来た先生が、なんとも微妙な表情を浮かべた。
私も自分で自己嫌悪に陥る。
これじゃあ話があるなんて嘘だと言ってる様なもの。
あんな大胆な事をして部屋に上がり込んでる手前、本当にそういうつもりで来たんだと思われたらどうしよう。
「……学会、ねえ」
呟く様に言って、樫本先生は私にカップを一つ手渡すと、自分はソファに向かって歩いて行く。
「真新しい発表は何もなかったけど、学生の論文のレベルがちょっと高かったかな。
おいで。その封筒の中にレジュメが入ってるから」
カップに口を付けて、先生が軽く目線で私を促した。
テーブルの上に放り投げられた封筒を目にして、私も言われるがままにソファに座って封筒の中を見る。
「あ、ほ、本当ですね。
実験データも面白いし、このまま進めて行ったら面白い論文が出て来そうな……。
え? きゃっ……」
半分惰性でレジュメに目を通していた私の肩を、樫本先生が強く引き寄せた。
慌てて顔を上げると、先生が目の前で私をジッと見つめている。
スーツを脱いでラフな服装で戻って来ると、立ち尽くしたままの私に視線を向けながらキッチンに入って行く。
「で、話って何」
お湯を沸かしているのか、冷えた部屋の空気が少しだけ温かくなった様な気がする。
「え、えっと……」
聞かれても返事に困った。
話なんて口実だし、聞きたい事は聞ける訳がない。
「あ、あの。学会、どうでしたか」
「……」
コーヒーを淹れたカップを二つ手にしてリビングに入って来た先生が、なんとも微妙な表情を浮かべた。
私も自分で自己嫌悪に陥る。
これじゃあ話があるなんて嘘だと言ってる様なもの。
あんな大胆な事をして部屋に上がり込んでる手前、本当にそういうつもりで来たんだと思われたらどうしよう。
「……学会、ねえ」
呟く様に言って、樫本先生は私にカップを一つ手渡すと、自分はソファに向かって歩いて行く。
「真新しい発表は何もなかったけど、学生の論文のレベルがちょっと高かったかな。
おいで。その封筒の中にレジュメが入ってるから」
カップに口を付けて、先生が軽く目線で私を促した。
テーブルの上に放り投げられた封筒を目にして、私も言われるがままにソファに座って封筒の中を見る。
「あ、ほ、本当ですね。
実験データも面白いし、このまま進めて行ったら面白い論文が出て来そうな……。
え? きゃっ……」
半分惰性でレジュメに目を通していた私の肩を、樫本先生が強く引き寄せた。
慌てて顔を上げると、先生が目の前で私をジッと見つめている。