解ける螺旋
結局健太郎は、私の返事を待たずに溜め息をつく。


「本人でもわからないのかな。
……俺も自分の感じる気持ちが、本当に俺の気持ちなのかわからない。
それでも樫本先生のやってる事は暴いてやらなきゃって思うんだ。
人の記憶も気持ちもめちゃめちゃにされて、黙ってらんないから」


健太郎が強い口調で発した言葉に、私はただ俯いた。
今、自分が抱く気持ちにも自信が持てない。
この気持ちは本当に私が感じてる気持ちなのか、それとも愁夜さんから受ける影響で変えられたものなのか。
それは私も昨日からずっと考えてる事だった。


「暴くって、どうやって?」


イエスともノーとも言えないまま、それだけを健太郎に確認する。
あんな態度をとったからには、先生の妹さんが関係してると思うけど、何がどう関係するか見当もつかない。


「わざと不遜な態度見せて正解だった。
先生って不機嫌にさせると一気にわかりやすくなるよね。
ま、そりゃそうか。
妹と奈月と両方の話題振っても普通の態度されたら、俺の方がムカつくし」


健太郎がニヤリと笑う。
その笑顔はやっといつもの健太郎に戻ったみたいで、私もホッとする。


「それが先生の目的に関係あるの?
……あ。そうだ、さっき健太郎が言ってた病名って……」


尋ねているうちに、ずっと引っかかっていた言葉を思い出した。


「……あれ、本当?
あの病気って確か、この間お父さん達が発表した薬で治療出来る様になった……」

「そう」


私の質問に、健太郎は満足そうな視線を向ける。
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