解ける螺旋
相沢夫妻は娘が死ねば自殺してしまう。
結城が死ねば、結城財閥のトップが代わり、相沢夫妻との繋がりは絶える。


相沢夫妻は医学方面への知識が薄かったから、生態学の研究が薬の開発に繋がるなんて考えてなかった。
結城財閥との繋がりがなければ、全く別方向に研究内容を変えて行ってしまうんだ。


だから敢えて誘拐事件を見逃した。
そしてその代わりに、娘を助ける代償を求めた。
もちろん、薬を開発させる為の要求だった。


ちょっと干渉し過ぎかと心配だったけれど、ただ助けるだけじゃ、相沢夫妻の研究は治療薬の方に向いていかない。
結局真美の命のリミットに間に合わない。


これで上手く行くと思ったのに。
戻って来た時、真美はやっぱり亡くなった後だった。


調べてみたら、確かに相沢夫妻は治療薬の開発に成功していた。
真美はその治験に参加して、命を長らえる事が出来ていた。


なのに。
いつもと違ったのは、真美は病気が原因ではなく、自ら命を絶ったと言う事だった。


なんでそんな事になるのか、想像も出来なかった。
だから相変わらず世界を繰り返して、やっと行き着いた事実。


真美は、失恋を苦にして自殺していた。


真美が助かると思った世界の未来で、真美は治験者として新薬開発パーティーに招待されて結城財閥の息子と出会っていた。
真美は生まれて初めての恋におちて、だけどその淡い想いは実る事はなかった。
そしてそれだけを苦に、自殺した。


病気の事では何も弱音を吐いたりしなかった真美が。
たかだか失恋で。


俺がこんなに必死に探し当てた未来で。
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