解ける螺旋
それまでの愁夜さんは私を誘拐犯から救出して、そしてどこかの世界で私を殺して来た。
そんな限定した関わりしかなかった人。
今の様に日常的に会話をして近くにいる様な状況は、なかったはずなんだから。


それなら。
他の世界の私が愁夜さんと恋に落ちて、その記憶が私にも影響してるなんて、そんなはずがない。


だから、今私が愁夜さんに抱えている想いは全部私自身の物。
今の私の本当の想いなんだってわかる。


偽物なんかじゃない。
愁夜さんを信じたいと思うのも、愁夜さん自身が幸せになって欲しいと思うのも。
こんなに愁夜さんの事ばかりを考えている自分も。


結局、この気持ちが今の私の本心なんだ、と、私はやっと自信を取り戻せた様な気がした。


だから私は言い募った。


「それでもやっぱり、私は愁夜さんの未来には必要ないんですよね?」


え? と、愁夜さんが眉を寄せた。


「このまま愁夜さんは元の世界に戻って、そこに私は要らないんですよね?」

「……放っておいても害がないってわかったから、今の奈月を殺したりしないよ」


言葉を選ぶ様に私に告げる。
それも今なら、愁夜さんが戸惑っているからだってわかる。


「健太郎には、本当に自分が感じてる気持ちかどうかわからないって言われた。
だけどわかるの。私は」


そう言って、愁夜さんを下からジッと見つめた。


「……お願い。もう本当に私が必要ないなら。
もう二度と私に逢わないつもりなら、私を殺して」
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