解ける螺旋
そして何かを口にし掛けて、それを掻き消すかの様に首を横に振った。


「いくら捕まらない、罪に問われないって言っても。
俺だって、何度も君を殺すのは嫌な気分なんだけど」


不機嫌そうな横顔。
本気で言ってくれている言葉だったら、どんなに嬉しかったか。


「……だけど、そうだね。
どうやら俺が奈月を殺す理由はもう無いみたいだ。
君が見た俺が幸せそうに見えたなら、今俺が戻れば、きっと未来が変わってる。
俺はやっと、この果てしない世界を終わらせる事が出来るのかもしれない」


はっきりと何が起きてるかわからないはずなのに、愁夜さんはとても穏やかな表情を浮かべた。


「奈月が出て行った後、戻った世界は何も変わってなかったのに。
……この二週間の間で世界は変わったみたいだね。
これでやっと、俺も自分に戻れる」


そんな事を言う愁夜さんを見つめながら、私は自分の想いを探していた。


私の事、自分自身の事よりも、愁夜さんの事を優先して考えている私は、一体何なのか。
健太郎に止められてまで愁夜さんに会って、彼の求める未来が何かを聞き出したのは何の為だったのか。


――今の気持ちも偽物かもしれないのに。


そう言った健太郎の言葉が胸に刺し込む。
だけど私はそれと同時にはっきりと理解していた。


――違う。


この気持ちが他の私の記憶のはずがない。
だって愁夜さんは言ってたもの。
この世界で初めて、私達の日常に干渉したって。
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