解ける螺旋
友人のまだ幼い息子は、自分を責めるかの様に青い顔をしていた。
それでもリビングの片隅で、警察と対応を考える自分の両親や私達の様子を、気丈にも立ち尽くしたままジッと見ていた。


娘が誘拐された数時間後―――
私達夫婦の手に届けられた犯人からの脅迫状。


その要求を知っただけでも、友人の聡明な息子は私と同じ可能性を考えていたのかもしれない。


この事件の犯人が狙ったのは、本当に私の娘だったんだろうか……?


メッセージは娘の身代金を要求するものだった。
しかし一億と言う大金を、この短時間で私達が用意出来る訳がなく。
友人が金の用意を引き受けてくれた。


そして友人と個人的に親交のある警察の強力も有り、私は犯人の要求通りの行動をとった。
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