解ける螺旋
ポカンとしてる二人だけど、こうやって見ると、結構お似合いかもしれない。
なんだかとてもいい事をした気がする。


「……奈月、おじさんに用ってなんだよ。俺聞いてない」


健太郎が微妙な表情を浮かべるのを、脇腹をつねって止めた。


「……ばか。結城財閥の跡取りなら、もう少し気を利かせなさいよ。
彼女がこんなパーティーで心細い思いしてるの、わからないの?
健太郎がエスコートしてあげた方が、彼女も楽しめるから」


小声で健太郎にそう言うと、健太郎も初めて気付いた様に、少しだけ戸惑って西谷さんを見下ろした。
健太郎の視線を浴びて、西谷さんは真っ赤な顔で俯いてしまう。
難病患者だって事情もあるけど、儚さと可憐さが際立って、なんだか応援したくなる。
そしてそんな女心に全然気付かない健太郎をはり倒したくなる。


「あ、あの。私、一応兄と来てるんです。
でもこういうの慣れてないし、居心地悪いからって会場の外に行っちゃって。
……だから、兄を捜さないと」


健太郎といきなり二人という展開にどうしていいのかわからないんだろうけど、だからこそ経験が必要。
私はニッコリ笑って健太郎の背中を押した。


「庭かしら。じゃついでに私が見てくるわ。
西谷さんのお兄さんなら、カッコイい人を捜せば見つかりそう。
発見したら妹さんが捜してるって伝えてあげるから」


ちょっと強引だったかな、とも思ったけど、西谷さんは少しだけ瞳をさまよわせた後、小さく頷いた。
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