Rainy days never stay~心の傷痕~

ヒューーーーーーーーーーー

やかんからお湯の沸く音がする。

この部屋に似つかわしくない、昔ながらのこのやかんが私は好きだ。

私は茶葉を入れたポットにお湯を注ぐ。

「良い香り。」

彼が丁度着替えから戻ってきた。

私の腰に腕をまわし、後ろから抱きつく。

そして、私の耳の辺りに顔を埋めた。

「陽樹さん、・・・危ない。お湯零れちゃう。」

「あっ、ごめんごめん。
じゃあ、これリビングに持ってくな。」

「うん、お願いします。」

空港で無事再会した私たちは、一緒に夕飯を食べて彼のマンションに戻ってきた。

お互いのこと、ちゃんと話をするために。

もう覚悟は出来ている。

何を聞いても、彼を信じるって決めたから。

< 165 / 196 >

この作品をシェア

pagetop