主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
“誕生日おめでとう”
皆からそう言われて息吹が唖然としていると、百鬼たちが次々とにじり寄ってきて、手にしていた息吹への贈り物を勇んで差し出した。
「これ、頑張って昼間に買いに行ったんだ。紅だぞ!恥ずかしかったんだからな!」
そう声をかけてきたのは腕と脚が1本ずつしかない魃(ひでりがみ)という毛むくじゃらの妖で、綺麗な包み紙に包まれた紅を手にした息吹の反応を百鬼全員で見守っていると…
「わあ…綺麗…!魃さん、ありがとう!」
「俺は人前に出ると大雨を降らす。それは今日買いに行ったからこれから丸1日雨が降る。それで化粧してもっと綺麗になれ」
「うんっ」
「次は俺だ!」
「いや、俺だぞ!」
百鬼たちがわあわあと声を上げてひっきりなしに息吹に詰め寄ると晴明と銀が息吹の両隣に座り、主さまがびしっと百鬼に命令をした。
「うるさい。順番に一列に並べ」
「おう!」
素直に息吹の前に一列に並び、息吹は感激のあまり言葉が出ず、胸を押さえた。
「私に誕生日ができた…!それも主さまと同じ日!みんなにお祝いしてもらえるなんて、すっごく嬉しい…!
「何を言うにゃ、息吹は僕たちのお姫様にゃ!僕たちが育てたにゃ!」
「ふざけるな。息吹を育てたのは俺…」
「それは違うな、この安部晴明だ」
猫又がにゃあにゃあと鳴いて文句を言い、百鬼たちが轟々と主さまに非難の声を上げると、完全に収拾がつかなくなってしまった。
「ほらほらあんたたちうるさいよ!息吹、それが済んだらこれを食べておくれ。雪女と2人であんたの好物をたくさん作ったんだ。いやって言うほど食べてもらうからね」
「母様!わあ…すごい!」
広間の座卓には乗り切れないほどの豪華絢爛な料理が並んでおり、さらに感激した息吹はとうとう、わあわあと声を上げて泣いてしまった。
「嬉しい…すごく嬉しい…!」
「がははは、赤子に戻ったようだぞ!俺が抱っこしてやろう!」
「赤!」
橋の前から動かないはずの赤鬼が青鬼と交代交代で顔を出しに来たので、大木の幹のように太い腕で抱き上げてもらうと、さらに息吹は泣きじゃくってしまった。
皆からそう言われて息吹が唖然としていると、百鬼たちが次々とにじり寄ってきて、手にしていた息吹への贈り物を勇んで差し出した。
「これ、頑張って昼間に買いに行ったんだ。紅だぞ!恥ずかしかったんだからな!」
そう声をかけてきたのは腕と脚が1本ずつしかない魃(ひでりがみ)という毛むくじゃらの妖で、綺麗な包み紙に包まれた紅を手にした息吹の反応を百鬼全員で見守っていると…
「わあ…綺麗…!魃さん、ありがとう!」
「俺は人前に出ると大雨を降らす。それは今日買いに行ったからこれから丸1日雨が降る。それで化粧してもっと綺麗になれ」
「うんっ」
「次は俺だ!」
「いや、俺だぞ!」
百鬼たちがわあわあと声を上げてひっきりなしに息吹に詰め寄ると晴明と銀が息吹の両隣に座り、主さまがびしっと百鬼に命令をした。
「うるさい。順番に一列に並べ」
「おう!」
素直に息吹の前に一列に並び、息吹は感激のあまり言葉が出ず、胸を押さえた。
「私に誕生日ができた…!それも主さまと同じ日!みんなにお祝いしてもらえるなんて、すっごく嬉しい…!
「何を言うにゃ、息吹は僕たちのお姫様にゃ!僕たちが育てたにゃ!」
「ふざけるな。息吹を育てたのは俺…」
「それは違うな、この安部晴明だ」
猫又がにゃあにゃあと鳴いて文句を言い、百鬼たちが轟々と主さまに非難の声を上げると、完全に収拾がつかなくなってしまった。
「ほらほらあんたたちうるさいよ!息吹、それが済んだらこれを食べておくれ。雪女と2人であんたの好物をたくさん作ったんだ。いやって言うほど食べてもらうからね」
「母様!わあ…すごい!」
広間の座卓には乗り切れないほどの豪華絢爛な料理が並んでおり、さらに感激した息吹はとうとう、わあわあと声を上げて泣いてしまった。
「嬉しい…すごく嬉しい…!」
「がははは、赤子に戻ったようだぞ!俺が抱っこしてやろう!」
「赤!」
橋の前から動かないはずの赤鬼が青鬼と交代交代で顔を出しに来たので、大木の幹のように太い腕で抱き上げてもらうと、さらに息吹は泣きじゃくってしまった。