全部、私からだった。 ~AfterStory~
「しっ」
と。
りっくんは、私に視線をやり、腕は動かさず控え目な万歳のままで、左手人差し指だけをピンと立てた。
都合が悪くなると私を黙らせるなんて、と。
私の怒りは、治まるどころか一層燃え上がる。
「そうなの?」
赤根くんは一瞬だけ、りっくんから視線を私に寄越して尋ねた。
それ、私に聞く?
もう本当に嫌、穴が有ったら入りたい、いっそ消えてしまいたい。
が、その瞬間――
りっくんが目にも留まらぬ速さで腰から何かを抜き取った。
りっくんの右手に握られているのは、拳銃。
想像よりずっと小さな物だったけれど、間違いない。
そんなの私でもわかる。