勿忘草~私を忘れないで~


「アイツ……さ、2年の時言ってたんだよな」


「何て?」





「あ、キンモクセイ、咲いてる気がする」


突然、言い出した。


そのせいでか、確かにそんな香りがする。


「キンモクセイの花言葉、いくつかあるけどその一つが『謙遜』」


と言って黙ったと思ったら、急に爆笑しだした。


「お、オイ、何だよ急に!!」


「成留には不似合い!!!」


「お前~~~」


とか言ってたら、笑いが収まったようで、


「ま、謙遜なんてあんま似合う人いないけどね。


他には、『真実』『陶酔』『初恋』」


「意外とかっこいいんだね、キンモクセイって」


「家に一本欲しい」





「って言ってた」


「あ、アレ、そうっぽくない?」


「木なんて遠くから見たらどれも一緒にしか見えね~よ、俺」


「同じく!」


こうやっている俺たちだって、『元気を出して』と言われたいことくらい、ある。


一番言われたいと思ったのが、愛生の事だった。


知らなかった真実を知った時。


それと…………


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