意地悪同期にさらわれました!

「…な、何言って…、待て…」

俺が口を挟もうとすると、彼女がキョロッと俺を見た。

『お願い!合わせて!』

……瞳がそう言っている。

………仕方ないな。

『ランチは秋篠亭のステーキ、3,000円のコースだぞ』

『…分かった。奢るわ』


俺達は目で会話を交わした後、頷き合った。

ここで通じるのも、伊達に毎日ケンカでコミュニケーションを取っている訳じゃないんだな、と改めて思う。


「…悪いな、山岸。
そういう事なんだよな」

そう言って白々しく彼女の肩を抱いて引き寄せた。




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