優しい手①~戦国:石田三成~【完】
桃も三成も結ばれたいと願っているのに状況が許さず、また元の時代に帰るためには…これ以上惹かれるのはまずい、とも思いつつ…
それでも離れることができない。
――耳に三成の心臓の音を聞いて少しうとうとしかけた時――
「殿、刺客です!」
緊張に孕んだ声が聞こえて、桃以外の面々が飛び起きた。
宿の外からは剣戟の音が聞こえて思わず桃が身震いすると、三成が桃の頭に布団を被せながら殺気に目の色を変える幸村に押しやった。
「幸村、頼む」
「しかし拙者は外で戦いを…!」
「君が桃姫を守ってくれるのが一番いい。私たちは大丈夫だから、ここに居なさい」
桃が恐怖に戦いているのをその顔色で読み取り、布団を被ったままの桃を抱きしめた。
「はっ!畏まりました!」
「よし、行こうか」
あたかも無防備に見えるが、何よりそこが謙信の恐ろしい所――
鞘から刀を抜く音すら立てず、刺されても気付かない者も居る。
そんな謙信と共闘できることが政宗にとっては嬉しく誇らしく、三成はきっちり気持ちを切り替えてもう桃を振り返ることなく宿を飛び出て行く。
「君はただの行政を司る奉行、というわけではないようだね。十分腕っぷしもある。私の軍に欲しいくらいだよ」
「殿っ、ぜひ三成めを我が軍門へと招き入れましょうぞ!さすれば天下などあっという間ですぞ!」
――勇ましく飛び出て行った男たちを見送り、未だ外から聞こえる悲鳴や高い剣戟の音が桃を震えさせて、幸村にしがみついた。
「幸村さん、こわ、怖い…!」
「あの方たちは一騎当千の猛者。桃姫、ちなみに拙者も腕前だけはあります。あなたの命は必ず拙者がお守りいたします」
「う、うん、幸村さんが強いことはよく知ってるよ。だってゲームでも…きゃぁっ」
部屋が大きく揺れて、馬が嘶く声が聞こえた。
思わずまた幸村にしがみついて、押し倒すような形になりながら倒れこむ。
「も、桃姫…っ!」
「今のなに!?幸村さん、みんな大丈夫なの!?」
とうとう泣き出してしまった桃に無限の愛しさを感じ、無我夢中で抱きしめた。
きゅう、と胸が締め付けられる。
それでも離れることができない。
――耳に三成の心臓の音を聞いて少しうとうとしかけた時――
「殿、刺客です!」
緊張に孕んだ声が聞こえて、桃以外の面々が飛び起きた。
宿の外からは剣戟の音が聞こえて思わず桃が身震いすると、三成が桃の頭に布団を被せながら殺気に目の色を変える幸村に押しやった。
「幸村、頼む」
「しかし拙者は外で戦いを…!」
「君が桃姫を守ってくれるのが一番いい。私たちは大丈夫だから、ここに居なさい」
桃が恐怖に戦いているのをその顔色で読み取り、布団を被ったままの桃を抱きしめた。
「はっ!畏まりました!」
「よし、行こうか」
あたかも無防備に見えるが、何よりそこが謙信の恐ろしい所――
鞘から刀を抜く音すら立てず、刺されても気付かない者も居る。
そんな謙信と共闘できることが政宗にとっては嬉しく誇らしく、三成はきっちり気持ちを切り替えてもう桃を振り返ることなく宿を飛び出て行く。
「君はただの行政を司る奉行、というわけではないようだね。十分腕っぷしもある。私の軍に欲しいくらいだよ」
「殿っ、ぜひ三成めを我が軍門へと招き入れましょうぞ!さすれば天下などあっという間ですぞ!」
――勇ましく飛び出て行った男たちを見送り、未だ外から聞こえる悲鳴や高い剣戟の音が桃を震えさせて、幸村にしがみついた。
「幸村さん、こわ、怖い…!」
「あの方たちは一騎当千の猛者。桃姫、ちなみに拙者も腕前だけはあります。あなたの命は必ず拙者がお守りいたします」
「う、うん、幸村さんが強いことはよく知ってるよ。だってゲームでも…きゃぁっ」
部屋が大きく揺れて、馬が嘶く声が聞こえた。
思わずまた幸村にしがみついて、押し倒すような形になりながら倒れこむ。
「も、桃姫…っ!」
「今のなに!?幸村さん、みんな大丈夫なの!?」
とうとう泣き出してしまった桃に無限の愛しさを感じ、無我夢中で抱きしめた。
きゅう、と胸が締め付けられる。