優しい手①~戦国:石田三成~【完】
あっという間に床に寝かしつけられた桃は、右側に謙信、左側に三成が座り、挟まれた状態で寝返りすら打てずにいた。


「あ、あの…すっごく近いんだけど…」


「君が心配なんだよ。すぐに飛び出て行って何をするかわからないんだから、じっとしててほしいんだ。じゃじゃ馬さん、今はお願いだから大人しくしてて」


「ごめんなさい…」


にこ、と笑いかけてくれた謙信に笑みを返すと、今度は左側の三成が蒲団の中に手を忍ばせてきて、きゅっと手を握ってきた。


「三成さん…」


「子だぞ?俺に子が…」


「や、君との子と決まったわけじゃないし。私の子かもよ」


「いや、俺の子に決まっている」


「え、えっと…」


――まだ妊娠していると決まったわけではないのに三成と謙信が諍いを始めてしまい、桃が小さく咳払いをすると2人がすまなさそうな顔をした。


「ごめん、そんなことはどうでもいいよね。でももし子ができていたら…君はこっちに残るでしょ?」


――1人で育てる自信は正直に言って全くなかった。


この前17歳になったばかりで、今の時代では世間体的にも若すぎる母になってしまう。

…姉たちも周囲から白い目で見られるだろう。


“どんな育て方をされたのかしら”などと陰口を叩かれて、肩身の狭い思いをしなければならないかもしれない。


「…わかんない。私…なんにもわかんない…」


「気に病むな。そなたの好きなようにしていいんだ。だがもし子が出来ていたら…それがそなたの悩みの種になってしまうのなら…俺が預かる」


「三成さん…」


驚いて起き上がると、三成は不器用に微笑んで握る手に少し力を込めた。


「どちらの子かなどどうでもいい。俺の子として育てるし、そなたは何も気に病むな」


「こらこら待ちなさい。私の方が自由に育ててあげられるよ。君の手で育てられたら笑い方も知らない子になってしまいそうだ」


――2人共優しすぎる。


少しでも心の負担を和らげてくれようとして、子を預かるとまで言ってくれて…


だがもし妊娠しているのなら…この手で育ててあげたい。


「2人とも…ありがとう」


2人が照れたように笑った。
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