優しい手①~戦国:石田三成~【完】
桃が寝込んでいるという知らせを受けた元親と左近が早速やって来て、動き回りたくて仕方のない桃は皆に囲まれて窮屈な思いをしていた。


「私…元気だから大丈夫だよ?」


「駄目だ、寝ていろ。そなたたちもここへの出入りは控えてくれ」


「どうして謙信公と貴公は良くて俺たちは駄目なのだ?」


「そ、それは…」


桃が孕んでいるらしい、ということは内密中の内密のことで、政宗は部屋の隅に寝ころがっていて、鼻で笑った。


「余計な詮索はするな。とにかく桃姫は具合が悪いのだ、それで納得しておけ」


「政宗公…貴公は桃姫の病名を知っておられるのか?」


「当たり前だ、俺と桃の仲だからな」


――何故か蚊帳の外な桃が起き上がろうとすると謙信から肩を押されて、柔和な美貌にうっとりする笑みを浮かべた。


「じゃあせめて今日だけはそうしていて。でも明日も明後日もこれからも、ちゃんとわかるまでは走ったりしては駄目だよ」


「は、はい…」


とにかく三成と謙信の至れり尽くせりぶりがものすごく、水を飲もうにも2人がかりなので心が休まるわけもなく、


桃が無理矢理寝たふりをすると、それまでわいわいやっていた皆がぴたりと騒ぐのをやめて、そっと部屋を出て行った。


「良かった…やっと出て行ってくれ…」


「俺は残っているが問題あるか?」


「!み、三成さ…」


全員出て行ったと思ったのに三成だけが残っていて、寝たふりがばれた桃は言い訳をしながら起き上がった。


「あ、あの…寝てるだけなのも身体が痛くなるから起きてもいいよね?」


「少しだけなら。桃、何か食べたいものはないか?どこか痛いところは?」


「食べたいものもないし元気いっぱいだよ。三成さんたち心配しすぎだよ」


「そんなことはない。子が出来たかもしれないというのにそなたはのほほんとしすぎている」


三成の気持ちもわからないでもないが…まだ生理が来てないのは確かだが妊娠しているのは確かではない。


もし妊娠していても…


「…元の時代に戻るつもりか?」


「…眠たくなっちゃった。寝ていい?」


「…ああ」


答えずに無理矢理瞳を閉じた。
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