隼 ASPHODEL-5編
「嫌だ!」
高露は莎羅の遺体に抱きついた。

莎羅の長い髪が舞う。

「でもな、高露、これからもこの病気は増えていく。救いたいんだよ。」

佳伊が困ったように言う。

「何で莎羅の体にメス入れるんだ!莎羅を生き返してくれよ!」

泣きながら莎羅のつめたくなっていく身体を抱きしめる。

「高露…死者は蘇らせることは出来ないんだよ」

佳伊が手を出すと高露はそれを振り払った。

「絶対莎羅に触るな!」

困る佳伊と隼の面々を前に高露は一歩も引かない。
すると、横についていた羅我が佳伊に耳打ちする。

「みみに頼みますか?」

「みみか……」

佳伊は悩んだ。

「高露、試みてみよう。莎羅ちゃんの蘇生。でも失敗したら莎羅ちゃんの身体を調べさせてくれ。データが欲しいんだ」

「出来るのか?」
高露はすがる目をして言った。

「100%とは言えないよ。失敗したらデータを取らせてくれること。それが条件」

高露は莎羅を見て悩んだ。
3分ほどして、分かった。と小さく答えた。
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