雨と傘と
目を開けると、教室は暗くなっていた。
泣き疲れて、眠ってしまったみたい。ぼーっとした頭で周りを見渡すと、私の机に腰掛けた人影がこちらを見ていた。

逆光で表情は見えないけど…

春にいだ。


「こんなトコで寝てたら風邪ひくぞ。」

春にいの優し声が耳に届く。

「帰ろう。」

春にいは机から下りると歩き出す。それを見て慌てて私は鞄を掴むと、ぐっとほっぺを拭って彼の後を追った。


春にいは私の様子がおかしいことに…泣いていたことに気が付いているはずなのに何も言わなかった。隣に追いついた私の手をいつものように繋いでくれた。

春にいの温かな体温が私の心を締め付けた。
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