雨と傘と
「岬ー、最近先輩達来ないねー。つまんないー。景さんの綺麗な顔を見て癒されたいよ…うー…」

給食を食べると、小峰と教室で話をすることが最近多い。
小峰は、景さんのファンなのだ。

「確かに景さんの顔ってすごく綺麗だよね。私女子だけど、完全に負けてるよ。春にいは、クラス委員の仕事があるんだって。」

「ふーん…本当にそれだけ?」

「うん。本当に、それだけ。ケンカした訳じゃないよ。登下校は一緒だし!」

平静を装ってそう言うと、小峰は少し不満そうな顔をした。



「岬、あんまり自分を追い詰めないで。最近、全然元気ないし。心配なんだからね!いつでも、相談に乗るんだから。どんなことを聞いたって、私は岬の味方でいる。だから話してよ。」



私の親友は、私の醜い心をも受け入れようとしてくれる。

「小峰…ありがとう。」



小峰の優しさに、抑えていたものが溢れ出す。
涙が、感情が、溢れて、止まらなかった。


「岬、保健室、行こう。」

彼女は私を隠すように教室から連れ出してくれた。
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